離婚の際に男性側が出ていき、女性側が住み続けることになったが、登記名義を男性から女性側に変更せず、20年後に男性側が亡くなった
離婚の際に登記をせず、放置してしまったパターンその1です。
当然離婚が成立した時に財産分与で男性から女性に登記を移しておけば良かったのですが、ひとそれぞれご事情もおありでしょう。
ことの次第
①20年前、離婚が成立。女性側が住み続け、男性側が出ていった。
土地建物の所有者(登記名義人)は男性だった。
夫婦間には子供がいたがすでに独立しており、女性は一人暮らしを始めた。
②女性には土地建物を買い取るお金もなく、夫婦には不動産以外のお金も無かったため、
名義はそのままで放置してしまった。
③男性側はその後再婚、子供もできたが、その後病気で亡くなった。
このケースの場合、すでに離婚している女性側には相続権がありません。
更に男性側に再婚相手がいらっしゃるため、この女性に相続権が発生してしまいます。
つまり、そのまま法律にしたがって手続きを進めると、土地建物は、
自分の実子、再婚相手、再婚相手との子供のものになり、女性のものでは無くなってしまうのです。
解決策①
一番良いのは再婚相手にも納得してもらい、女性側の実の子の単独名義に登記を移すことです。この場合、相続権がある人の全員の合意が必要となり、遺産分割協議書の作製が必要です。相続に詳しい司法書士や不動産会社に相談しましょう。司法書士は登記に必要な手続きはしてくれますが、各相続人との話し合いまではしてくれないことが多いです。
もめてしまえば弁護士に頼んで訴訟になってしまいますが、もし皆さんが協力的であれば、司法書士と不動産会社などが何とかしてくれることもあります。亡くなった男性が、不動産以外に預貯金があれば、再婚相手にこの預貯金を渡して、不動産は女性側がもらうなど、話し合いが上手くいきやすいでしょう。そうでない場合は、子供にローンを組んでもらうなど、対策を考える必要があります。まずは関係者が協力してくれそうか確認しながら、相談してみましょう。
解決策②
再婚相手も子供も協力してくれない場合はどうすればいいでしょうか?
もはや不動産会社のできる範囲を超えているので、弁護士の先生に相談すべきですが、20年経ってしまうと財産分与を請求することはできませんので、残る手段は時効取得くらいでしょうか。
20年以上所有の意思を持って不動産を占有(住んでいる)していると、事項による取得が認められるケースがあります。ただし、相続人である再婚相手や子供が簡単に認めることは無いと思いますので、裁判等で争うことになるでしょう。
何はともあれ、離婚が成立したらその時点で財産分与や不動産持分売買を行うなど、必要な対処を行うことが重要です。問題の先延ばしは、後々さらに大きな問題となることが多いようです。